スロウハイツの神様/辻村深月を読み終えた感想。あなたには止まってしまった時間があるか

辻村深月さんは僕の好きな女性作家です。最近ですと「映画ドラえもん のび太の月面探査記」の脚本を担当されてますね。小説以外にも多方面で活躍されている方です。

あらすじ

人気作家チヨダ・コーキの小説で人が死んだーー

あの事件から10年。

アパート「スロウハイツ」ではオーナーである脚本家の赤羽環とコーキ、そして友人たちが共同生活を送っていた。

夢を語り、物語を作る。

好きなことに没頭し、刺激し合っていた6人。

空室だった201号室に、新たな住人がやってくるまでは。

Amazonより引用

感想

何かをきっかけに止まってしまった時間がある

皆さんは前に一歩進むのが怖くなってしまった経験はありますか?

あの時の後悔や誹謗中傷、周りの目が気になってしまう…と、あの日あの時から前に進めていない感覚。そういった感覚が体にまとわりついていると、悲しみ苦しみから抜け出すことが難しくなります。

スロウハイツの登場人物チヨダ・コーキ、赤羽環にも「止まってしまった時間」があります。チヨダ・コーキは小説を読んで死んでしまった事件をきっかけに、赤羽環はとある過去の体験をきっかけに(ネタバレのため伏せます)、二人は死にたくなるほど辛い思いをします

彼らが見つけた希望の光

それでも二人は自殺することはありません。死にたくなるほど辛い経験をしても、彼らは生きることを選び、チヨダ・コーキは小説を書き、赤羽環は夢に向かって全力でかけ抜けます。

彼らの止まってしまった時間を再び動かすまで支えてくれるのは何か。動きだすきっかけをくれるのは何か。

もがき苦しんだ時間を、死にたかったあの日から解放して前に向かう力をくれる…そういうところをこのスロウハイツの神様はしっかり描いていて、僕が一番響いたところでした。

そしてそういった存在がスロウハイツの「神様」だったのではないかなあと思いました。

対照的な二人

死にたくなるほどの辛い思いを二人ですが、性格は対照的です。

赤羽環は自分の夢をかなえるために強くあり続けました。そのため誰に対してもストレートに言葉を投げるし、態度もわかりやすいです。

チヨダ・コーキのやさしさは誰もがわかるものから、誰にも気づかれないようなことまであります。赤羽環は人の心を読むのがうまいですが、結局最後までチヨダ・コーキのとあるやさしさに気づことはありませんでした。

他登場人物

スロウハイツのアパートには他にも魅力的な登場人物がいます。

映画監督を志すイケメンの長野

ハッピーな漫画を描こうとする狩野

絵がうまいが引っ込み思案で人に依存してしまうスー

チヨダ・コーキの編集者の黒木

自称小説家のチヨダ・コーキファン加々美

スロウハイツはトキワ荘のようなアパートで、芸術家や作家、映画監督の卵が集まっています。

各登場人物の視点で考えるといろんな神様が見えてくると思います。

他メディア

この本を読むきっかけだったのが、キャラメルボックスが舞台を行うと聞いて、舞台を観に行く前に読んでおこうと思って読みました。

このキャラメルボックスの舞台も、本当に最高~~~~~~でした。原作を尊重した構成しその上にキャラメルボックスらしさ(笑いとかw)を取り入れて観に行って本当によかったなーと思いました。(公演は終わってしまいましたが、またぜひ観に行きたいです!)

公式サイト キャラメルボックス/スロウハイツの神様

まとめ

チヨダ・コーキと赤羽環を中心に時間は動き出す。二人の時間が、そして周りの時間が。

とにかくおすすめの本です。ぜひ読んでみてください!!!