「ぼくたちが選べなかったことを、選びなおすために。」を読んだ感想

おすすめ度 ★★★★☆

「ぼくたちが選べなかったことを、選びなおすために。」の著者幡野広志さん(https://twitter.com/hatanohiroshi)は写真家です。現在がんを患っています。今の医学では完治がむずかしい多発性骨髄腫というがんです。

これまでのがん患者の本は読み手に感動を与えるような本が多かったように思います。がん患者が戦っている姿を見てぼくらは感動していました。その生きる姿勢にぼくらは力をもらっていました。

しかし、この本は違います。

人間関係の不幸を払いのけるためのヒントが書かれた本です。

がんの本なのに?

それでは僕のことを交えながら本を読んだ感想を書いていきます。

がん患者にとっての不幸とは何か

幡野さんはがんになることで人間関係の不幸が生じました。

どういった不幸かというと、「がんになって苦しんでいる幡野さん」よりも「幡野さんが苦しんでいる姿をみて苦しむ私」がたくさん現れたということです。

それも家族に。

一番大変な思いをされているのはがんを患った方です。治るのか、治療はどんなのだ、お金は、仕事は、家族は…色んなことを考えなくてはいけない。

そこに、家族が悲劇の主人公になってしまっては、たまったものではない。

幡野さんはブログでがんを公表し、がん患者や医療従事者、生きづらさを抱えている人に取材をはじめます。

親との関わりをどうするか。僕は縁を切った

取材をするなかで、病気を患って病気のこと以外に人間関係のことに悩んでいる方はたくさんいることに気づいた幡野さん。主に家族の人間関係について悩みを抱えている人が多くおり、取材の内容がわかりやすく書かれています。

僕はこの本を読んで、家族のせいで生きづらさを抱えているひとがいることをいろいろな角度から知ることができました。

僕は毒親の元で育ちました。父親の借金、母親の過保護、理想をぶつけられる日々…当時の屈折した気持ちを思い出すたび不幸の匂いが鼻を突きます。

父親はそうでもないのですが、母親の過保護はおとなになっても続きました。

親からしたら僕は親のこどもかもしれない。でも僕は今はもう「親のこども」ではなく「自立したおとな」と主語は「親」から「僕」に変わっている。

僕は僕であることを伝えたくても、いつまでも過保護している親はハナから話なんて聞く耳をもっていませんでした。それに加え、こどものころ「生んだことが人生で最大の失敗だった」ということや、言うことを聞かなかったということで包丁を突きつけられたことを思い出します。

僕は僕の人生を生きるために親と縁を切るという選択肢しかありませんでした。

主語を「私」として生きる道を選ぼう

生んでもらっておいて縁を切るというのは…意見もあるでしょう。生んでもらったのは確かだ。

そして同時に、産むという選択をしたのは親なのも確かだ。

親を大切にしようという考え方、それ自体は僕はいいと思っている。だからといって、親が死ぬまで面倒をみなくてはいけないかというと、そうではないと思っています。

いつまでもぼくらは親のこどもではない。親は親で自分で生きる道を探してもらうしかない。親の面倒をみるために僕はうまれてきたのではない。僕は親の言うことをずっと聞けるロボットではないし、親を助けたいという気持ちをもてないように育てたのは親なのです。

主語を「私」として生きると、ぐっと生きるのが楽になりました。もちろん、責任は全部自分に降り掛かってきます。その責任は、親に縛られて生きていたときよりは重くは感じないです。

今選べず苦しんでいるひとへ

僕はこの本を読んで救われるなと思ったのは、「家族とは、選ぶもの」という言葉でした。

家族って選んでいいんだって。ずっと周りは「親を大切にしなさい」という言葉ばかりでした。まったくもって正論だと思いますが、子を大切にしなかった親にまで大切にする義理はなくてもいいと思っています。

今、人間関係で悩み、苦しいんでいる方、親と暮らしている未成年。選ぶ力をまだ持ち合わせていないだろう。苦しい、死にたいと思うこともあるだろう。その気持ちを否定はしない。

ただ、おとなになったら、選ぶことができる。

僕は人生を生きるために親と縁を切った。一人暮らしをして、息がめいっぱい吸える感覚がある。

僕はずっと未来は真っ暗だった。それはとてもつらいことだった。でもおとなになって暗闇だけではなかった。

希望をもってもいいと思う。おとなになるのに時間がかかるのも確かだけど、僕が言いたいのは未来は暗闇だけではない、あなたにとっての光もあるんだよということです。

そういう考え方も世の中にはあるんだよと教えてくれる本です。ぜひ人との関係で悩んでいる方は読んでみてください。

選べなかったことを、選びなおそう。

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2019年8月21日